スカイストーン株式会社の広報担当・新野と申します。私もやや覚えがありますが、どんな業種でもマネージャー(管理職)になると、これまで経験したことのない、様々な悩みに直面します。例えば――上司に「生産性を上げろ!」と突かれるも、部下は思うように動かない。チームメンバーの能力やモチベーションが低く、生産性が上がらない。そもそも管理業務が増えたせいで、他人にかまってるヒマがない。いろいろ試行錯誤してみるも、どれも根深く、解決できない問題ばかり。無力感に打ちひしがれ、せっかく昇進したのに自信を失ってしまうマネージャーも多いでしょう。ベテランでも対処が難しいこれらの問題。解決への早道は「マネジメントの正しい知識」を得ることです。今回は、悩める新米マネージャーの方々に「これだけ読んでおけば大丈夫」というビジネス本をご紹介。年間100冊以上のビジネス書を読んでいる弊社代表が推薦した、様々なシーンで使える8冊です。実践的なマネージャー指南書 ~業績アップに即効性の高いテクニック~まずは、期待を裏切らない「超・実践向け」なマネージャー指南書を2冊ご紹介。タイトル:マネージャーの問題地図~「で、どこから変える?」あれもこれもで、てんやわんやな現場のマネジメント著者:沢渡 あまね出版社:技術評論社マネージャーには日々、たくさんの指示が飛んできます。「新人の教育ちゃんとしろ」「部下のモチベあげろ」「とにかく成果出せ」…etc。しかし自分の業務だけで手一杯なのに、そんなのできるわけがない。気づけばタスクが山積みで、部下の代わりに残業の毎日。そんな「タスクまみれの限界ギリギリなマネージャー」に、救いの手を差し伸べるのがこの一冊です。この本では、まず「膨大なマネージャー業務をひとりで行うのはムリ」と断言。そのうえで、業務を「マネジメント」「統制」「事務」の3タイプに分類し、「他人に振れるものはドンドン振りましょう」と、自分の負担を減らす方法を教えてくれます。さらに、効率のよい業務のまわし方や、チーム連携をスムーズするテクニックとして「5つのマネジメント」や「9つの行動」なども分かりやすく伝授。例えば、「マネージャーが言ってはいけない言葉」などは、心にちょっと留めておくだけでもチーム崩壊の危機を防げます。マネージャー業が上手くいかないとき、つい「自分のやり方はダメなのか?」と迷いを感じる方もいるかもしれません。しかしこの本は、「自分がいまどんな問題に直面し、どう解決したらよいのか」をパッと示してくれます。タスクに埋もれて周囲が見えない状況に陥ったとき、まさしく行動指針の“地図”として、あなたに正しい道を示してくれるでしょう。タイトル:急成長を導くマネージャーの型 ~地位・権力が通用しない時代の“イーブン"なマネジメント著者:長村 禎庸出版社 : 技術評論社昨今は、業務の進め方が大きく変わってきています。在宅ワークやWEB会議が当たり前になり、オンラインだけで仕事を回していくシーンも増えました。また昨今、チームメンバーにフリーランスが加わることも珍しくありません。「年功序列」が通用しない彼らに、指示の出し方ひとつでも四苦八苦するマネージャーは多いでしょう。そんな新しい体制の会社で、マネージャーはどうやってチームを引っ張っていけばよいのでしょうか? その手法とコツを、具体的に紹介してくれるのがこの本です。オンラインで繋がる相手でも、フリーランスのメンバーでも、チームを上手く機能させるために重要なのは「古いやり方は通用しない」ということ。それ相応の、新しいマネジメントスキルが必要です。例えば、「フリーランスのモチベーションの上げ方」や「正しいKPIの設定方法」。さらには「不満の出ない評価制度」から「優秀な人材を見抜く採用テクニック」といった人事スキルまで、この本には「効果的に業績を上げるメソッド」が1から10まで、すべて網羅されています。さらに内容と同じく、とても興味深いのが著者の経歴。著者はチームが崩壊したベンチャーに参加し、業績を上げるだけでなく、たった2年で東証一部に上場させた実績の持ち主。その際、実際に現場で使い、成功を勝ち取った方法論がこの一冊に収められているのです。コミュニケーションを円滑にし、チームを効果的に機能させるコツも丁寧に解説している本書。それらはフリーランスが多いベンチャー企業だけでなく、古いタイプの会社でも使える実践的、普遍的なメソッドです。「対話」で悩むマネージャーにとっても、心強い味方となるでしょう。企業価値を上げるマネージャーの行動 ~管理職としての「広い視野」とは?~マネージャーともなれば、自分の業務をこなすだけでは及第点。「会社という大きな枠で利益をもたらす提案」も求められます。そんな要望に応えるには、マネージャーとしてどんな考え方、取り組みが必要か。以下の2冊が、そのヒントを与えてくれます。タイトル:TRACTION トラクション ビジネスの手綱を握り直す 中小企業のシンプルイノベーション著者:ジーノ・ウィックマン出版社:ビジネス教育出版社伸び悩む会社には、なかなか解決できない、慢性的な問題が山積みです。マネージャーとしての責任感から、いくつかの解決を試みても、その根深さ、面倒くささに、サジを投げてしまうケースがほとんどでしょう。もちろん、そのままでは会社は確実に腐り、ともすれば倒産の危機にも瀕します。この本では、そんな“慢性的な問題だらけ”な会社を救う方法として、アメリカ発のメソッド「EOS」を紹介しています。これは「EOS(経営のオペレーション・システム)」の名のとおり、「企業の成長に必要な要素」を抽出し、シンプルにフレームワーク化したもの。例えば、いつも失敗ばかりして、なかなか成果を出せない社員がいるとします。一般的なマネージャーなら「成果を出せるよう工夫させ、努力させる」という手法をとるでしょう。しかしこれだけでは不十分。もし成果が出せない場合、永遠に「悩みのタネ」になるだけです。そこで「EOS」では、「3回達成できなかったら部署を変える」というルールを導入。これは「成果を出せない本人が悪いのではなく、成果を出せない人間を、その業務に就かせている会社が悪い」という考え方です。この施策を続けるだけでも、そのうち全員が適材適所で働けるようになり、おのずと生産性も向上していきます。実に合理的で、アメリカらしい手法ですが、注目したいのはそのメソッドの形態。「EOS」に書かれていることは、すべて「修練が必要なテクニック」でなく、「誰でもすぐに実践できるルール作り」です。これこそが「EOS」のもっとも優れた点であり、この本のタイトルでもある「トラクション(実行力)」だともいえるでしょう。ほかにもこの本には、会社を機能的に回すための「仕組みづくり」が満載。それを実行するだけで業績が上がるなら、やらない手はありません。マネージャーとして、管理職として、腕のみせどころです。ただ「仕組みづくり」と言われても日々のお客様の対応や度重なるスタッフの離職、売り上げの管理などなど管理職やマネージャーの仕事は多岐にわたります。管理する部下の数が多くて全員のコンディションが難しいマネージャーにお勧めなのが、「みんなのマネージャ」です。「みんなのマネージャ」はスタッフが簡単な質問の答えるだけでコンディションの可視化ができ、改善提案アドバイスが出てきますので、新人マネージャーにも使いやすいツールです。タイトル:ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論著者:朝倉 祐介出版社:ダイヤモンド社「ファイナンス(企業の資金調達)」と聞くと、一見、マネージャーには関係がないように思えます。しかしファイナンスを含めて、会社の上位レイヤーの考え方を知っておくと、マネージャーとして5年、10年がたった後、大きな違いが出てくるでしょう。例えば、新規事業の企画を出すとき。最初はミニマムで走り出すにせよ「ファイナンスの想定がある or ない」で、提案する内容は、かなり変わってくるかと思います。会社という大きな枠のマネジメントを学ぶことは、自身の将来の可能性をも大きく広げるのです。そして、その“会社のマネジメント”のなかでも、大きなウェイトを占めるもののひとつが「ファイナンス」。そんなファイナンスについて、この本では基本的な知識はもちろん、AmazonやFacebookなど、大企業での実例も交えて分かりやすく教えてくれます。さらに予備知識として、「PL脳」と「ファイナンス思考」という概念についても詳しく解説しています。「PL脳」とは、PL(損益計算書)に象徴される「目先のお金の動きばかりに気を取られる考え方」のこと。「ファイナンス思考」とは、「会社の将来性や成長性を念頭に、大局的な視点で利益を追求する考え方」のことです。それらのメリット・デメリットを挙げつつも、「PLも大切だが、PL脳になってはいけない」「ファイナンス思考を心がけることが将来的に企業利益に繋がる」というのが、この本の主題になります。“初心者向けファイナンスガイド”とも呼べるこの一冊。上を目指したいマネージャーであれば、一読の価値アリです。自身やチームのモチベを向上させる マネージャーの「心構え」どんな仕事でも「心構え」は大切です。マネージャーとして、社会人として、働くすべての人に必要な「心構え」を授けてくれるのが、ここで紹介する2冊です。タイトル:マネジメント [エッセンシャル版] - 基本と原則著者:ピーター・F・ドラッカー出版社:ダイヤモンド社言わずと知れた“経営の神様”こと、P・ドラッカー。そのドラッカーの著作の中でも、日本で特に有名なのがこの一冊。およそ50年ほど前に書かれた『マネジメント』から、重要な部分を抜粋した“要約版”みたいなものです。もはや“古典”ともいえる本書ですが、いまなお支持され、名著と呼ばれるのは理由があります。それは、書かれている内容が「マネジメントにおける永久不滅の原理・原則」ばかりだからです。「マネジメントの役割」に始まり、事業、組織、コミュニケーションなど、経営管理に必要な概念と、それらの“あるべき姿”が記されています。特に、マネージャーについて「なにをおいても真摯であれ」と唱えている箇所には、ハッとさせられる方もいるのではないでしょうか。ロングセラーたるこの本には「経営管理の心構え」がすべて詰まっていますが、その読みづらさも一級品です。学者が書いたものなので、本のスタイルが「ビジネス書」でなく「教科書」寄り。しかも、原書から補足などを省いたエッセンシャル版なので、一読しただけではピンと来ないところが多々あるかもしれません。しかし、これを「経営の辞典」として捉えるなら話は別。手元に置いて、仕事でつまづいたとき、なにか迷いが生じたときに読み返してみてください。以前に読んだときには気づかなかった「発見」や、「貴重な気づき」にきっと驚かされるでしょう。マネージャーなら、ぜひ押さえておきたい一冊です。タイトル:仕事は楽しいかね?著者:デイル・ドーテン出版社:きこ書房マネージャーには悩みがつきもの。業務は上手く回せていても、会社や家庭への不満、将来への漠然とした不安など、どんな人でも悩みは大小あるものです。この本は、そんな“悩める会社員”を主人公にした、ストーリー仕立てのビジネス書。作品の舞台は、吹雪に荒れるシカゴの空港。飛行機が欠航し、ここに丸一日閉じ込められるハメになった不運な会社員(35歳)が主人公です。そんな彼がイライラした面持ちで座っていると、ある老人が気さくに話しかけてきます。老人は彼の家族構成、出身地、仕事のことまで、とにかくしつこく聞いてきます。彼は疲れていたので適当に答え、やり過ごそうとしました。しかし、老人がはなったひとつの質問に、思わずギクリとさせられます。それがこの本のタイトル『仕事は楽しいかね?』です。彼はそれを聞いた瞬間、胸の奥に押し込めていた苦々しい思い、長年抱えていた仕事への不満を、すべて洗いざらいぶちまけてしまいます。すると老人はウンザリするでもなく、ますます興味深そうに話をうながしてきて――。と、ストーリーはこんな調子で進みます。老人は、主人公が打ち明ける悩みのひとつひとつに、コカ・コーラなどの実際の大企業のエピソードを交えて答え、格言を伝え、彼を元気づけていきます。特に、私が印象に残ったのは「目標は立てなくていい」という格言。「目標を立てると、スケジュールをなぞるだけの毎日になり、仕事が楽しくなくなる」とのこと。この言葉だけ切り取ると「当たり前だよ」と感じる人もいるかもしれません。しかし、実際に自分の立てた目標がなかなか上手く達成できず、苦しみさえ感じてしまっているような人には、深く刺さり、救いの言葉に感じられるのではないでしょうか。またこの本では、一貫して「試すこと」を訴えています。仕事に疲れたとき、ふと「自分はなにをやってるんだろう」と、虚無感に包まれたことがある人は、少なくないかと思います。そんなとき、新しいことを試し、新しい世界に飛び込むことは、けっして「逃げ」ではありません。活路を開くきっかけとして、自分の心に折り合いをつける意味でも、「なんでも気軽に試すこと」は、とても重要だと老人は語っています。「すべてを投げ出したい」と感じてしまっている“疲れたマネージャー”なら、ぜひこの本を手にとってみてください。モヤモヤした心のよどみがスッと晴れ、仕事や人生に前向きになる力を与えてくれるでしょう。部下の教育とマネジメント ~高い成果を生み出す秘訣~ベテランのマネージャーでも、「成果を上げること」を第一とし、チームメンバーをないがしろにしてしまうケースは往々にしてあります。しかし、優れた先人たちの多くは「チームメンバーを第一に考え、活かしてこそ成果もついてくる」と教えています。そのために大切なのが、メンバーとのコミュニケーションです。マネージャーとしてメンバーを教育する場合でも、トップダウンな態度では人の心は動きません。どうすれば皆のモチベーションを上げ、成果を生むことができるのか。その達成に必要なコミュニケーションの取り方を、以下の2冊から学べるかと思います。タイトル:HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント著者:アンドリュー・S・グローブ出版社:日経BPこの本は、インテルで3代目の社長を務めたA・グローヴが、マネージャー業務の重要性を説き、その具体的なメソッドを記したものです。最初に刊行されたのは1983年ですが、アメリカではいまでも読み続けられており、「ビジネスマン必携の書」とも呼ばれています。P・ドラッカーが『マネジメント』を発行してからちょうど10年後に書かれた本書。こちらも「経営の心得」的な部分はドラッカーと共通してますが、その内容はとても対照的。本作のマネジメント理論は、著者が実際にマネージャーとして働き、実際に体験したことから得られたもの。そのため、実際にあったエピソードや、誰もがイメージしやすい例えを使って説明してくれるので、とても分かりやすく、読みやすいのが特徴です。何より興味深いのは、「マネージャーのもっとも重要な仕事は、チームメンバーに最高のパフォーマンスを発揮させること」と述べている点。これは昨今、多くのビジネス書でも書かれている定義と同じものですが、それが、すでに40年前に書かれているのだから驚きです。そういった点でも、ドラッカーの『マネジメント』のように、「マネージャーにとっての普遍の原理・原則」が網羅されている名著だといえるでしょう。また、この本の面白いところは、理想のメソッドを並べるばかりでなく、著者の「失敗談」も書かれている点。著者の愛嬌たっぷりなキャラクターに触れ、読み物としても十分に楽しめます。マネージャーとして「マネジメント」を初めて学ぶとき、最初の一冊にオススメです。タイトル:新 コーチングが人を活かす著者:鈴木 義幸出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワンはじめて部下を持ったものの、どう接してよいか分からない。指導や1on1の際、つい一方的に話してしまい、相手の話を引き出せない。不満を抱えていそうだけど、上手な聞き方が分からない。そんな悩みを抱える新米マネージャーは多いでしょう。自分も人間なら相手も人間。マネージャー以前に「人間同士のコミュニケーション」が上手くできないと、部下のマネジメントは思うようにできません。しかし、コミュニケーションは個人の性格や、これまでの人生経験がモノをいうジャンルです。苦手な人はとことん苦手で、それでいて改善が難しいスキルが「コミュニケーション」なのです。そんなコミュニケーション下手を改善し、人のマネジメントに劇的な効果を生むのがこのコーチングの入門書。多くのマネジメント本でも書かれているように、マネ―ジャーが最優先すべき仕事は「部下のスキルとモチベーションを上げること」。そして、それを円滑に進める技術として、最良の手段が「コーチング」なのです。ただ著者によると、近年はコーチングを「指導」と誤解している人が多く、それにはやや懸念を抱いているとのこと。本来のコーチングは「教えてやる」というスタンスではなく、「同じ目線で一緒に考える」というスタンスが大切だと述べています。そのため本書では、「相手の心によりそう」ことをもっとも重視し、どのメソッドでもそれを一貫させています。相手と一緒に親身になって考えるからこそ、人の心は動き、信頼を得られる。だからこそ部下は高いモチベーションを発揮し、自分自身で考え、行動してくれるようになるのだと。この本では、そんな正しい意味でのコーチングスキルを、様々なシーン別に詳しく、どう話せばよいのか、具体的に解説してくれます。すべての項目にイラストも添えているので、とても分かりやすいのも特徴です。部下の指導に苦戦しているマネージャーはもちろん、すでにコーチングを実施していても、なかなか思うような成果を出せない管理職の方々は必見の良書。ぜひ一度お試しください。マネージャーとチームのコミュニケーションを加速する『みんなのマネージャ』ここまで、新米マネージャーが読むべき書籍として、最適な8冊を紹介させていただきました。実際に読んでみると、どの本も「チームメンバーとのコミュニケーション」を重要な課題として捉えているのが分かります。私たちスカイストーン株式会社も、その考えに共感し、コミュニケーションを最重要視しています。だからこそ、それを可視化し、サポートするサービス『みんなのマネージャ』をリリースしました。『みんなのマネージャ』は、チームメンバーの健康やメンタルの不調をすぐに察知し、「声かけ」の具体的な内容を提案します。コーチングメソッドを会話に組み込むことで、マネージャーのコミュニケーションスキルを磨き、メンバーの心理的安全性を高め、モチベーションの向上を目指します。もしご興味がある方は、ぜひこちらのリンクからお越しいただければ幸いです。マネージャーとして悩み、苦しんでいる方は多いと思います。しかし、ひとりで抱え込むだけでは、解決までの道のりはなかなか厳しいものになるでしょう。泥沼にハマッてしまう前に、ぜひ、今回ご紹介した本を手にとってみてください。あなたの心と体の負担が、少しでも軽くなることをお祈りしています。