日々の業務のなかで、知らず知らずのうちに蓄積されているストレス。通常の生活を送るだけでも、実はストレスのきっかけがたくさんあります。うまく対処できていれば問題ないものの、気付かぬうちに蓄積していくと、心身になんらかの影響がでることも。そこで今回はストレスの要因となることと、その対処法について解説します。ストレスを受けると心と身体はどうなる?ストレスを受けると、心と身体になんらかの「反応」が表れます。医学や心理学の領域では、外部からの刺激を「ストレッサー」と呼び、ストレッサーに適応するために心や身体に生じる症状や反応が、いわゆる「ストレス反応」です。ストレッサーには、・物理的なもの(例:騒音、混雑)・化学的なもの(例:公害物質、薬物)・心理・社会的なもの(例:人間関係、仕事や家庭の問題)があります。この中で、私たちの日常生活において「ストレス」と呼ばれるものの多くは、「心理・社会的ストレッサー」に該当します。ストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、心理、身体、行動それぞれに表れます。心理面:活気の低下やイライラ、抑うつ。身体面:頭痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛。行動面:飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故。以上のように、さまざまな症状に悩まされます。これらの症状や反応がなかなか治まらない場合、ストレスが過剰状態である可能性が高いといえます。もしストレス反応に気づけたのであれば、生活を振り返り、原因を究明し、ストレスとうまく付き合っていくための方法を考えましょう。万が一、症状が悪化する、あるいは長期間にわたり症状が消えないということであれば、精神科医などの専門家へ相談するべきです。決して1人で抱え込んではいけません。ストレスがかかり続けると、病気になるリスクも高くなります。ストレスの原因ストレスの原因となるのは、日常に起こりうる事象や変化です。ストレスとは、そもそも「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のこと」を指し、外部からの刺激として以下4つの要因があげられます。・環境的要因:天候や騒音・身体的要因:病気や睡眠不足・心理的要因:不安や悩み・社会的要因:人間関係や仕事上記のように、日常生活のなかで起こりうる、あらゆる事象がストレスの原因です。就職や結婚、出産などの喜ばしい出来事も変化であり刺激といえるため、ストレスの原因となります。ストレスの経過「3つの段階」ストレスを感じてから、心や身体に反応や症状が出るまでの段階は、大きく3つに分けられます。①「警告期」ストレスを受けている自覚がない場合でも、肩こりやイライラ、集中力の欠如など、身体から何かしらのサインが出るようになります。②「抵抗期」ストレスに対して、反発がでるタイミングです。身体が発揮する抵抗力により表面的にはストレスがなくなったように見えますが、実際は無理している時期でもあるため、油断できません。③「疲憊(ひはい)期」病気や明らかな不調が心や身体に表れるタイミングのため、すぐにでも休息をとる、あるいは専門医を受診すべきです。なにも手立てを打たず、そのまま放っておくと、自分の力ではどうしようもない状態となる可能性が高くなります。ストレス耐性とは日常生活を営むだけでもストレスは発生するため、人にはストレスに耐えられる力が備わっています。それがストレス耐性と呼ばれるものです。ストレス耐性には6つの要素があり、それぞれがストレスの感じ方や対処方法に影響するといわれています。①容量ストレスをどのくらい受け止められるか、ということです。容量によってストレス反応の出やすさが変わります。容量が大きければ、ストレスを感じてもすぐに不調になるとは限りません。一方で、容量が小さいと、ネガティブな感情が生まれるだけでなく、身体の不調も起きやすくなります。②処理ストレスの原因に対処する能力のことで、原因そのものをなくす、もしくはストレスを感じにくくさせるのいずれかです。残業時間がストレスとなっている人が、残業時間を短くする、あるいはなくすために業務を改善できたのであれば、ストレス耐性における処理の能力が高いといえます。③感知ストレスの原因に気付くことです。敏感な人ほど、このストレス感知能力が高く、些細なことでもストレスを感じてしまいます。一方、鈍感な人ほどストレス感知能力は低く、ストレス耐性が強いといえます。④経験過去にどのようなストレスを受けたのか、ストレスを感じた時にどう対応したのか、経験があるほどストレス耐性は強くなります。多くの人が、はじめてのことは緊張や無知のためうまくいかないとしても、2回目、3回目からは落ち着いて対応できるようになるはずです。ただし、あくまでも経験や失敗を次に活かすという思考が必要です。何度やってもうまくいかないと考え、改善しようとしない人は経験を重ねてもストレス耐性は強くなりません。⑤回避ストレスの原因となっていることから回避できる能力のことです。物事に対しての固定観念が強い人、つまり「かくあるべし」という考えが強い人ほど、ストレスの原因をうまく受け流すことができないため、ストレス耐性が弱いといえます。一方、柔軟にあらゆる意見や考えを受け止められる人は、ストレス耐性が強く、回避能力が高いといえます。仕事などで苦手な人とチームを組むことになった際、回避能力が高い人は、ドライに考えて業務に支障のない最低限の接し方ができます。回避能力の低い人は、仲良くなろうとして、逆にストレスを蓄積させるかもしれません。⑥転換切り替えできる能力、とも言い換えられます。つまり、ストレスにつながることをポジティブに捉えられる考え方を指します。「失敗を次に活かそう」「学びの場となった」など、前向きに考えられる人は転換能力が高いといえます。逆に失敗を引きずり、うまく切り替えられない人は転換能力が低く、ストレスを溜めやすいでしょう。ストレス対処には「3つのR」が必要ストレスを感じ始めたのであれば、対処しなければいけません。ぜひ、それぞれの頭文字をとった「3つのR」を取り入れてみてください。①レスト(Rest):休む、眠るとにかくストレスや疲れを感じているのなら、休息をとりましょう。たとえば仕事や人間関係がストレスの原因となっているのであれば、それらから距離をとることが大切です。睡眠時間を十分に確保することも、ストレス発散となります。もし、ストレスによる不眠の症状があるのなら専門家に相談しましょう。医学的なアプローチで改善できる可能性があります。②レクリエーション(Recreation):運動する、趣味や娯楽適度な運動は、ストレス解消の効果が期待できます。運動することで、交感神経の興奮が抑制され、代わりに副交感神経の働きが優位となるからです。人間の身体は、副交感神経が優位となると、リラックスできるようにプログラムされています。ぜひ運動習慣を作ってみましょう。③リラックス(Relax):お風呂や音楽、食事心身がリラックスできる方法を身につけることも効果的です。お風呂や、音楽鑑賞、食事などもリラックス方法として効果的ですが、より手軽に行えるのが呼吸で、とくにお腹(腹筋や横隔膜)を意識して呼吸する「腹式呼吸」がおすすめです。通常時の呼吸と比べ、腹式呼吸では、多くの空気を身体に循環させることができます。そのため、よりリラックス効果が高いといわれています。また、筋肉をゆっくり伸ばすストレッチもリラックス効果が期待できます。『みんなのマネージャ』なら社員のストレスチェックと解決のヒントがわかるストレスは日常の事象や変化で感じるものですが、とくに人間関係や仕事において発生しやすくなります。オフィスで働く社員の多くがストレスを感じていると、業務効率や生産性への影響も懸念されます。そのため、日々のチェックと対策が重要です。社員のストレスチェックのための対策としては、コミュニケーションを増やす、1on1を実施するなど、さまざまな方法があります。しかし、本音を語ってくれない、社員本人も気づいていない可能性も考えられるでしょう。大切なことは客観的なデータに基づき、ストレスを可視化し、対策を講じること。そこで、役立つのが『みんなのマネージャ』です。『みんなのマネージャ』なら、日々のサーベイのなかでストレスの有無や調子の良し悪しを可視化できます。もし、問題がありそうな社員がいると判定されれば、トピックとして表示され、その内容を確認すれば、精神保健福祉士が監修する解決のヒントが提供されます。最適なアドバイスを確認できるでしょう。興味がある方は、ぜひこちらからお問い合わせしてみてください。