「何度言っても締め切りを守ってくれない」「簡単なミスが多い」「指示した通りにやってくれない」…こんな部下の行動に頭を悩んでいるマネージャーも多いと思います。やる気はあるのに、なぜか「指示通り」に動いてくれない。そんな部下を持つマネージャーの皆さんへ。もしかしたら、それは「やる気」や「根性」の問題ではなく、「認知能力」の問題かもしれません。今回は、「指示通り」ができない部下を持つマネージャーにおすすめしたい一冊、榎本博明さんの著書『「指示通り」ができない人たち』をご紹介します。 本書では、「認知能力」という新しい視点から、部下の行動のメカニズムを解き明かしていきます。「指示通り」に動かない部下に悩んでいませんか?「何度も同じミスを繰り返す」「優先順位を理解していない」「報連相が全然できない」…このような行動を繰り返す部下に対して、マネージャーはどのように対応していけばいいのか?「もっと真剣に仕事に取り組んでほしい」「なぜ、こんなこともできないんだろう…」そう感じて、つい感情的に叱ってしまったり、諦めて放置し、見て見ぬふりをしていませんか?もちろん部下にも個性があるので、誰しもが完璧に「指示通り」に動けるわけではありません。しかし、あまりにも「指示通り」に動かない部下を持つマネージャーの悩みは深刻です。本書が提案する、マネージャーの悩みを解決するヒント本書『「指示通り」ができない人たち』では、「指示通り」ができないのは、決して部下のやる気や性格の問題ではなく、「認知能力」の差が大きく影響していると解説しています。「指示通り」ができないのは、実は「認知能力」の問題?「認知能力」とは、情報処理能力と言い換えることもできます。注意深く情報を観察し、記憶し、必要な情報を活用して思考し、問題を解決する一連のプロセスを指します。そして、この「認知能力」には個人差があり、生まれ持った特性に大きく左右されます。つまり、「認知能力」が低い人は、情報を処理する効率が悪く、「指示通り」に動くために必要な情報を読み取ることが苦手なため、業務が滞ってしまいます。指示の出し方を変えても、なかなか改善しないワケ「認知能力」が低い部下に対して、従来型の指導法はあまり効果がありません。なぜなら、従来型の指導法は、「相手はきちんと理解している前提」で成り立っているからです。例えば、タスクの進捗状況を共有していなかった部下に対して、「報連相は基本でしょ!」と叱責しても、状況は改善しないでしょう。なぜなら、その部下は「報連相がなぜ必要なのか」「どのようなタイミングで、どのような内容を報告すべきなのか」を理解できていない可能性があるからです。「認知能力」に着目した、新しいアプローチ本書では、「認知能力」が低い部下に対して、頭ごなしに叱責したり、根性論で解決しようとしたりするのは逆効果だと述べています。その代わりに、「認知能力」の特性を理解した上で、適切なサポートや指導を行うことの重要性を説いています。具体的な方法については後ほど詳しく解説しますが、まずは「認知能力」という新しい視点を取り入れることが、マネージャーの悩みを解決する第一歩となるでしょう。能力改善のための3つの柱1. 認知能力を鍛える認知能力は、情報を理解し、処理し、問題解決に活かすための能力です。具体的には以下の方法で鍛えることができます:問題解決練習:ロジカルシンキングやクリティカルシンキングを含む問題解決の練習を行うことで、思考力を高めます。メモリートレーニング:記憶力を鍛えるためのトレーニングを行い、情報の保持と利用を効率化します。読解力の向上:読書や勉強を通じて、情報を正確に理解し、処理する能力を高めます。2. メタ認知能力を鍛えるメタ認知能力とは、自分の認知プロセスを客観的に観察し、制御する能力です。これを鍛えることで、自己管理や問題解決がより効果的に行えます。具体的には:自己評価の練習:自分の行動や思考を振り返り、評価する習慣をつけます。計画とモニタリング:タスクを計画し、その進捗を定期的にチェックすることで、効率的な作業が可能になります。フィードバックの活用:他者からのフィードバックを積極的に取り入れ、自分の改善点を見つけて修正します。3. 非認知能力を鍛える非認知能力とは、性格や態度、感情のコントロールなど、認知以外の能力を指します。これを鍛えることにより、社会的なスキルや感情の管理が向上します。具体的な方法としては:感情コントロール:ストレス管理やリラクゼーション技法を学び、感情の起伏をコントロールします。コミュニケーション能力の向上:効果的なコミュニケーション技術を学び、人間関係を円滑にします。モチベーションの維持:自己動機づけの方法を学び、目標達成に向けて継続的に努力する力を養います。これらの3つの柱をバランス良く鍛えることで、指示通りに行動する能力を向上させることができるそうです。日頃なかなか部下とのコミュニケーションができない、定期的な1on1の時間が持てないというマネージャーも多いと思います。モチベージョンの維持などのスタッフのコンディションチェックをしたいマネージャーにお勧めなのが、「みんなのマネージャ」です。スタッフのコンディションをアラートで可視化することで対応が必要な部下が一目瞭然です。「指示通り」ができない人の特徴とは?では、「認知能力」が低い人には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか?本書では、「指示通り」ができない人の特徴として、以下の5つを挙げています。特徴1:情報の整理が苦手「認知能力」が低い人は、一度に多くの情報を処理することが苦手です。そのため、情報が整理されていなかったり、複雑な説明を受けたりすると、混乱してしまい、指示の内容を正しく理解できません。具体的な行動例対応策のヒント・会議の内容をメモできない・資料の中から必要な情報を見つけられない・複数のタスクを並行して進められない・要点を絞って簡潔に伝える・図表やイラストを使って視覚的に説明する・タスクを細分化し、一つずつ完了させていく特徴2:複数のことを同時に行うのが苦手「認知能力」が低い人は、一度に一つのことに集中する傾向があります。そのため、複数のタスクを同時進行するように指示すると、混乱してしまい、ミスが多発したり、作業効率が著しく低下したりする可能性があります。具体的な行動例対応策のヒント・電話中に来客対応ができなくなる・締め切りが重なると、パニックになってしまう・一つのことに集中すると、周りの音が聞こえなくなる・マルチタスクを避け、一つのタスクに集中させる・締め切り前に余裕を持ったスケジュール管理を促す・集中しやすい環境を整える特徴3:状況に合わせて柔軟に対応するのが苦手「認知能力」が低い人は、事前に決まったルールや手順にこだわる傾向があります。そのため、想定外の事態が発生したり、臨機応変な対応を求められる場面では、戸惑ってしまい、適切な判断を下せなくなる可能性があります。具体的な行動例対応策のヒント・急な予定変更に対応できない・マニュアル通りにやらないと不安になる・トラブル発生時に、自分で解決策を見つけられない・事前に予定変更の可能性を伝えておく・状況に応じた対応の仕方を具体的に教える・トラブルシューティングの訓練を行う特徴4:自分の行動を客観的に見ることが苦手「認知能力」が低い人は、自分の行動を客観的に振り返ることが苦手です。そのため、ミスを指摘されても、なぜミスをしたのかを理解できなかったり、同じミスを繰り返してしまったりする可能性があります。具体的な行動例対応策のヒント・ミスを指摘されても、自分の非を認められない・周りの人に迷惑をかけている自覚がない・自分の成長ポイントに気づけない・感情的に叱責するのではなく、冷静に事実を伝える・具体的な行動目標を設定し、達成度合いを可視化する・定期的な振り返りの機会を設ける特徴5:新しいことを覚えるのが苦手「認知能力」が低い人は、新しい情報やスキルを習得するまでに時間がかかります。そのため、新しい業務を任されたり、研修を受けたりした際に、なかなか内容を覚えられず、周りの人に遅れをとってしまう可能性があります。具体的な行動例対応策のヒント・研修の内容をすぐに忘れてしまう・新しいシステムに慣れるのに時間がかかる・一度覚えたはずの業務手順を間違える・一度に多くの情報を詰め込むのではなく、段階的に教える・実務を通して、実践的に学べる機会を作る・復習の機会を定期的に設けるこれらの特徴は、すべての人が当てはまるわけではありませんし、「認知能力」が低い人だけが当てはまるわけでもありません。しかし、これらの特徴を持つ部下がいる場合、従来型の指導法では効果が薄い可能性があります。⇒【管理職必見】新米マネージャーにおすすめ マネジメント入門書8選「認知能力」を改善するための具体的な方法では、「認知能力」が低い部下に対して、マネージャーはどのように接すべきか、本書では、「認知能力」は訓練によって向上させることができると述べています。そして、効果的なトレーニング方法として、いくつかの具体的な方法を紹介しています。具体的な内容については、ぜひ本書を手に取って確認していただきたいのですが、ここでは、その一部を簡単にご紹介します。ワーキングメモリのトレーニング:ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持し、処理する能力のことです。この能力を高めるためには、例えば、「数字を覚える」「計算問題を解く」といったトレーニングが有効です。注意分割能力のトレーニング:注意分割能力とは、複数の情報を同時に処理する能力のことです。この能力を高めるためには、例えば、「2つのことを同時に行う」「周囲の音に注意しながら作業する」といったトレーニングが有効です。メタ認知能力のトレーニング:メタ認知能力とは、自分の思考や行動を客観的に捉える能力のことです。この能力を高めるためには、例えば、「作業前に計画を立てる」「作業後に振り返りを行う」といったトレーニングが有効です。これらのトレーニングは、決して難しいものではありません。日常生活の中で、少し意識して取り組むだけでも効果が期待できます。部下と一緒にトレーニングに取り組むのも良いでしょう。マネジメントのヒント本書では、「認知能力」のトレーニング方法だけでなく、「認知能力」が低い部下と良好な関係を築きながら、成果を上げるためのマネジメントのヒントも紹介されています。ここでは、その中からいくつかご紹介します。具体的な指示の出し方「認知能力」が低い部下に対しては、曖昧な指示や抽象的な指示は禁物です。「いつまでに」「誰が」「何を」「どのように」というように、具体的に指示することが重要です。また、口だけでなく、文書や図表などを用いて、視覚的に伝えることも効果的です。モチベーションを高める声かけ「認知能力」が低い部下は、自信を失いやすく、モチベーションが低下しやすい傾向があります。そのため、こまめな声かけやフィードバックを通して、部下のモチベーションを維持することが大切です。また、小さな成功体験を積み重ねさせることで、自信をつけさせることも有効です。接客業のマネージャーで、部下やスタッフが遠隔地にいてなかなかスタッフのモチベーションの把握ができない、タイムリーに声掛けができないなどの悩みを抱えるマネージャーには遠隔地でもスタッフのコンディションやモチベーションがタイムリーにわかる「みんなのマネージャ」がお勧めです。『みんなのマネージャ』の資料請求は下記より適切な業務量の調整方法「認知能力」が低い部下は、一度に多くの情報を処理することが苦手です。そのため、業務量が多すぎると、パンクしてしまい、ミスが多発したり、体調を崩してしまったりする可能性があります。部下の能力やキャパシティを考慮して、適切な量の業務を割り当てることが重要です。マネージャーとして、部下とのコミュニケーションを円滑に!今回は、榎本博明さんの著書『「指示通り」ができない人たち』をご紹介しました。本書では、「指示通り」ができない人の特徴や心理、そして具体的な対応策がわかりやすく解説されています。部下の行動にイライラしてしまう、どう指導すれば良いのかわからない…そんな悩みを抱えるマネージャーにとって、部下の認知能力のパターンを知り、それに対する対策を実践してみてください。本書を読むことで、「認知能力」という新しい視点が得られ、部下への理解が深まります。そして、本書で紹介されている方法を実践することで、部下とのコミュニケーションが円滑になり、チーム全体の生産性向上にも繋がると思います。ぜひ、本書を手に取って、あなたのマネージメントに役立ててください。『「指示通り」ができない人たち』を読んで、部下とのコミュニケーションを改善しましょう!「みんなのマネージャ」はスタッフのコンディションが簡単にできる人材マネージメントツールです。従業員のコンディションを可視化し、分析することができます。またコンディション向上に繋がる具体的な改善策を提案します。無料トライアルもございますので、お気軽にお問い合わせください。『みんなのマネージャ』の資料請求・無料導入相談は下記より・資料請求はこちらから・無料導入相談はこちらから