今回は、斉藤徹さんの「だから僕たちは、組織を変えていける」をご紹介します。毎月の数字目標が達成できないのが何カ月続いていますか?達成できないのは営業部だけのせいですか?VUCAと呼ばれる予測困難な時代、そして、デジタルシフト、ソーシャルシフト、ライフシフトが加速する現代において、従来型の組織構造やマネジメント手法では、対応が難しくなってきています。そこで注目されているのが、「自走する組織」です。今回は、本書で紹介した「新しいパラダイム組織」の事例を紐解きながら、組織が「自走」するために必要な要素について、具体的な事例を交えて解説していきます。「指示待ち」組織からの脱却従来型組織の限界従来の多くの組織は、ピラミッド型の階層構造をベースに、トップダウン型の意思決定、標準化された業務プロセス、そして、指示されたことをこなすことを良しとする文化が根付いていました。しかし、変化が激しく、複雑化する現代において、この「指示待ち」組織には、以下のような限界が見えてきています。項目従来型組織の特徴現代における課題意思決定トップダウン型変化への対応スピードが遅い業務プロセス標準化・マニュアル化複雑な問題に対応できない組織文化指示待ち・前例踏襲社員の主体性・創造性を阻害知識社会における組織のあり方では、現代の知識社会において、どのような組織が求められるのでしょうか?それは、変化を機会と捉え、自律的に行動する人材と、柔軟性・創造性を重視する組織文化が融合した「自走する組織」です。「新しいパラダイム組織」へのシフト本書「だから僕たちは、組織を変えていける」では、従来の組織の常識にとらわれず、新しい価値観に基づいた「新しいパラダイム組織」を提唱しています。そして、この「新しいパラダイム組織」を実現するための重要なキーワードとなるのが、「デジタルシフト」「ソーシャルシフト」「ライフシフト」の3つです。「だから僕たちは、組織を変えていける」で提唱される3つの組織モデルデジタルシフトデジタル技術の進化は、私たちの働き方を大きく変えました。場所に縛られず働けるリモートワークや、AIによる業務効率化など、組織運営のあり方にも大きな影響を与えています。「新しいパラダイム組織」では、これらのデジタル技術を積極的に活用することで、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方を実現し、従業員の生産性向上と創造性を最大限に引き出します。ソーシャルシフト社会の変化は、人々の価値観や働き方に対する意識も大きく変えています。従来の終身雇用や年功序列といった雇用形態は崩壊しつつあり、個人のスキルや能力が重視される時代になっています。「新しいパラダイム組織」では、多様な価値観や働き方を認め、個人が能力を最大限に発揮できる環境を提供することで、組織全体の成長へと繋げていきます。ライフシフト人生100年時代と言われる現代において、個人のキャリアプランも多様化しています。「新しいパラダイム組織」では、ワークライフバランスを重視し、個人が仕事とプライベートを両立させながら、長期的なキャリアを形成できるような環境を提供します。社員一人ひとりのライフステージやキャリアプランに合わせた柔軟な働き方を支援することで、組織へのエンゲージメントを高め、長期的な成長に繋げていきます。事例から学ぶ「自走する組織」それでは、具体的にどのような組織が「自走する組織」として、成果を上げているのでしょうか?本書で紹介している事例をいくつか見ていきましょう。事例1:権限委譲と透明性で実現した、社員の主体性を引き出す組織社員数約300名のIT企業A社では、従来のトップダウン型の組織構造では、変化の激しい市場に対応するのが難しいという課題を抱えていました。そこで、意思決定の権限を現場に委譲し、情報共有を徹底することで、社員一人ひとりが自律的に行動できる組織作りを目指しました。具体的には、従来の部門ごとの縦割り組織を廃止し、プロジェクトごとにチームを組成する体制に変更。各チームには、目標設定から予算管理、評価まで、大きな権限が与えられました。また、社内情報共有システムを導入し、経営情報を含むあらゆる情報をオープンにすることで、社員全員が会社の状況をリアルタイムに把握できるようにしました。その結果、社員一人ひとりの当事者意識が高まり、自律的な行動が促進。市場の変化にも柔軟に対応できるようになり、業績も向上しました。社員満足度も向上し、離職率も大幅に減少しました。事例2:共通の目的意識が、自律的なチームを生み出す従業員約50人のメーカーB社では、新規事業開発を促進するために、部門横断型のプロジェクトチームを立ち上げました。しかし、従来型の組織文化が根強く残っていたため、チームメンバー間の連携がうまくいかず、思うような成果が出せないという状況に陥っていました。そこで、B社では、チームビルディング研修を実施し、チームメンバーがお互いの強みや弱みを理解し、共通の目的意識を醸成することに注力しました。また、定期的なコミュニケーションの場を設け、進捗状況や課題を共有することで、チーム全体で目標達成に向けて進んでいける環境作りを推進しました。その結果、チームメンバー間のコミュニケーションが活性化し、それぞれが積極的に意見やアイデアを出し合えるように変化。新規事業のアイデアも次々と生まれ、市場にインパクトを与える新しい製品を開発することに成功しました。事例3:テクノロジー活用で、時間と場所にとらわれない働き方を実現全国に支店を持つ金融機関C社では、従来型の対面中心の営業スタイルから、デジタル技術を活用した顧客との接点を強化することで、顧客満足度向上と業務効率化を目指しました。具体的には、オンライン商談システムや顧客管理システムを導入し、場所を選ばずに顧客とコミュニケーションを取れる環境を整備。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、定型業務を自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できる環境作りを進めました。その結果、顧客との接点が増加し、顧客一人ひとりに最適なサービスを提供できるようになったことで、顧客満足度が向上。また、業務効率化によって創出された時間を、新規顧客開拓や顧客との関係構築といった、より創造的な業務に充てることができるようになり、売上向上にも繋がりました。⇒【管理職必見】新米マネージャーにおすすめ マネジメント入門書8選自走する組織に必要な要素ここまで、具体的な事例を通して「自走する組織」の姿を見てきました。では、組織を「自走」させるためには、具体的にどのような要素が必要なのでしょうか?組織文化「自走する組織」には、失敗を恐れず、新しいことに挑戦するチャレンジ精神を奨励する文化が不可欠です。また、オープンなコミュニケーションを促進し、互いに助け合い、協力し合うことを重視する文化を育む必要があります。自走する組織に必要な組織文化具体的な行動例心理的安全性- 上司や同僚に意見しやすく、相談しやすい雰囲気作り- ミスを責めるのではなく、改善につなげるための話し合い多様性の尊重- 年齢、性別、国籍、経験などを問わず、誰もが活躍できる環境づくり- 多様な意見やアイデアを積極的に取り入れるチャレンジ精神の奨励- 新しい技術やアイデアを積極的に試す- 失敗から学び、次に活かすことを推奨するリーダーシップ「自走する組織」において、リーダーは、メンバーに指示を出すのではなく、組織のビジョンや方向性を示し、メンバーが自律的に行動できるよう、適切なサポートや環境を提供する役割を担います。従来型のリーダー像自走する組織におけるリーダー像- 指示命令型- 問題解決型- 管理監督者- ビジョン提示型- 環境整備型- メンター・コーチテクノロジーデジタル技術の活用は、組織の「自走」を加速させる上で、非常に重要です。情報共有システムやコミュニケーションツールの導入、業務プロセスを効率化するITシステムの導入、データ分析に基づいた戦略立案など、組織の状況に合わせて適切なテクノロジーを導入する必要があります。活用できるテクノロジー導入効果情報共有システム (例:kintone)- 情報の透明性向上- スピーディーな意思決定コミュニケーションツール (例:Slack, Microsoft Teams)- コミュニケーションの活性化- 部署を超えた連携強化タスク管理ツール (例:Asana, Trello)- 業務の見える化- 進捗管理の効率化自律型人材の育成「自走する組織」を支えるのは、他でもない「自律型人材」です。自律型人材とは、自ら課題を見つけ、自ら考え、自ら行動し、責任感と当事者意識を持って行動できる人材のことです。「自走する組織」を実現するためには、従来型の指示待ち社員ではなく、自律型人材の育成が不可欠です。育成ポイント具体的な取り組み主体性を育む- 裁量権を与え、責任ある仕事を任せる- 成果だけでなく、プロセスも評価するチャレンジ精神を育む- 失敗を許容する文化を作る- 新しいことに挑戦する機会を提供する学び続ける姿勢を育む- 社内外の研修やセミナーに参加する機会を提供する- 自己啓発を支援する制度を設けるとは言っても管理するスタッフやアルバイトが多くて何が得意なのか?何がやりたいのか?把握できていないマネージャーの方も多いと思います。そこでお勧めなのが「みんなのマネージャ」です。デスクレスな現場のスタッフやアルバイトの方でも取り組みやすく、コンディションやモチベーション把握もできます。またスタッフの得意、不得意についてもわかるので、ツール内でコミュニケーションを図ったりすることもできます。主体性やチャレンジ精神をはぐくみマネージャーがスタッフのコンディションやスキルにいち早く気づくことができ、フィードバックすることでモチベーション維持につながり、学び続ける姿勢にもつながります。今なら「みんなのマネージャ」を1か月無料トライアルできます。「自走する組織」に関するよくある質問「自走する組織」に関するよくある質問Q1. 「自走する組織」は、どんな業界や規模の企業にも適応できるのか?A1. 「自走する組織」は、特定の業界や規模の企業に限定されません。むしろ、変化の激しい現代においては、あらゆる業界、あらゆる規模の企業にとって、必要不可欠な考え方と言えるでしょう。重要なのは、自社の置かれた状況や課題を正しく認識し、組織文化、リーダーシップ、テクノロジー、人材育成といった観点から、最適な方法で「自走」を実現していくことです。Q2. 「自走する組織」を実現するために、まず何から始めれば良いのか?A2. まずは、組織全体で「自走」することの重要性を共有することから始めましょう。経営層が率先して「自走する組織」のビジョンを示し、社員一人ひとりが当事者意識を持って変革に取り組める環境を作ることが重要です。その上で、組織文化、リーダーシップ、テクノロジー、人材育成といった各要素について、現状を分析し、具体的な改善策を検討していくと良いでしょう。「自走する組織」で、変化の時代を生き抜く今回は、「だから僕たちは、組織を変えていける」で紹介されている「新しいパラダイム組織」の事例を元に、「自走する組織」について解説しました。組織が「自走」するためには、組織文化、リーダーシップ、テクノロジー、人材育成といった多角的な視点から変革を進めていく必要があります。本書では、今回ご紹介した内容以外にも、「自走する組織」を実現するためのヒントが満載です。ぜひ本書を手に取っていただき、組織変革のヒントを探してみてください。今まで他部門のことで見て見ぬふりをしてきたマネージャーの方々、今こそ、自分自身が変わってやる気に満ちたチーム作りをしてみてください。『みんなのマネージャ』のお問い合わせや無料トライアルのお申し込みは下記より・資料請求はこちらから・無料トライアルのお申し込みはこちらから