COLUMN
保育士の離職率はなぜ高い?原因と対策、定着率を改善する次の一手
2026/1/31 00:05

保育士の離職は、単なる人手不足の問題ではありません。
職員が定着しない状態が続くと、採用コストが増えるだけでなく、保育の質、保護者対応、子どもたちの安心感にも影響します。
特に私営保育所では、公営保育所よりも離職率が高い傾向があります。厚生労働省の資料では、平成29年時点の保育士の離職率は全体で9.3%、公営保育所で5.9%、私営保育所で10.7%とされています。
さらに、保育士の有効求人倍率は令和8年1月時点で3.88倍と、全職種平均の1.27倍を大きく上回っており、採用で補うだけでは限界がある状況です。
つまり、保育業界では「採用する力」だけでなく、辞めさせない職場づくりがますます重要になっています。
本記事では、保育士の離職率が高い理由、よくある退職理由、園が取り組むべき対策、そして定着率を改善するための次の一手について解説します。
保育士の離職率は、年度や調査によって差はありますが、私営保育所ではおおむね10%前後で推移しています。
区分 | 離職率 | 補足 |
|---|---|---|
保育士全体 | 9.3% | 平成29年時点 |
公営保育所 | 5.9% | 公立園など |
私営保育所 | 10.7% | 私立園など |
保育士全体 | 10.3% | 平成25年時点 |
公営保育所 | 7.1% | 平成25年時点 |
私営保育所 | 12.0% | 平成25年時点 |
平成25年時点の厚生労働省資料では、保育士全体の離職率は10.3%、公営保育所は7.1%、私営保育所は12.0%とされています。
平成29年時点でも、私営保育所の離職率は10.7%と、公営保育所の5.9%より高い水準です。
一方で、令和6年の全産業の離職率は14.2%です。
そのため、数字だけを見ると「保育士だけが極端に高い」とは言い切れません。
ただし、保育士の場合は、離職が起きたときの影響が大きいのが特徴です。
保育士が1人辞めると、残った職員の負担が増えます。
その結果、さらに別の職員が疲弊し、離職が連鎖する可能性があります。
保育士の離職対策では、単に離職率の数字を見るだけでなく、現場への影響の大きさを踏まえて考える必要があります。
保育士の離職が起きやすい背景には、次のような構造的な問題があります。
保育士の有効求人倍率は、全職種平均を大きく上回っています。令和8年1月時点では、保育士が3.88倍、全職種平均が1.27倍です。
これは、保育士を必要としている園に対して、求職者が足りていない状態を意味します。
人が足りない状態が続くと、現場では次のようなことが起きやすくなります。
現場で起きること | 離職につながる理由 |
|---|---|
休みが取りにくい | 疲労が回復しない |
書類や行事準備が偏る | 持ち帰り仕事が増える |
新人指導の余裕がない | 若手が孤立する |
急な欠勤対応が増える | 職員間の不満が増える |
保育士不足は、採用の問題であると同時に、既存職員の定着にも直結する問題です。
保育士の退職理由として多く挙げられるのが、職場の人間関係です。
厚生労働省の資料では、過去に保育士として働いていた人の退職理由として、「職場の人間関係」が33.5%、「給料が安い」が29.2%、「仕事量が多い」が27.7%、「労働時間が長い」が24.9%とされています。
退職理由 | 割合 |
|---|---|
職場の人間関係 | 33.5% |
給料が安い | 29.2% |
仕事量が多い | 27.7% |
労働時間が長い | 24.9% |
保育の仕事は、チームで行う仕事です。
そのため、園長、主任、先輩、同僚との関係性が働きやすさに大きく影響します。
特に次のような状態は、離職リスクを高めます。
職場の状態 | 職員の感じ方 |
|---|---|
相談できる相手がいない | ひとりで抱え込む |
注意や指摘ばかりされる | 自信を失う |
園長や主任に本音を言えない | 不満が蓄積する |
職員同士で助け合えない | 孤立感が強まる |
保育士の離職対策では、給与や制度の改善だけでなく、日常のコミュニケーションの質を見直すことが重要です。
保育士は、子どもの命と成長を預かる責任の大きい仕事です。
一方で、給与や待遇に対して不満を感じている人も少なくありません。
退職理由でも「給料が安い」は29.2%と高い割合です。
もちろん、すべての園がすぐに大幅な給与アップを実現できるわけではありません。
しかし、給与を上げられない場合でも、次のような不満は改善できます。
不満 | 園で見直せること |
|---|---|
頑張りが評価されない | 評価基準を明確にする |
仕事量に差がある | 役割分担を見直す |
成長実感がない | 面談で目標をすり合わせる |
将来像が見えない | キャリアパスを示す |
給与そのものだけでなく、納得感のある評価・役割・成長支援があるかどうかも、定着率に大きく関わります。
保育士の仕事は、子どもと関わる時間だけではありません。
日誌、連絡帳、指導計画、行事準備、保護者対応、会議、清掃など、業務は多岐にわたります。
退職理由でも「仕事量が多い」は27.7%、「労働時間が長い」は24.9%とされています。
特に問題になりやすいのは、次のような状態です。
問題 | 現場への影響 |
|---|---|
書類作成が多い | 保育後に作業が残る |
行事準備が属人化している | 一部の職員に負担が偏る |
持ち帰り仕事がある | 休息時間が削られる |
ICTを導入しても活用できていない | 逆に手間が増える |
業務量が多い職場では、職員が「ずっとこの働き方を続けるのは難しい」と感じやすくなります。
新卒や経験の浅い保育士は、理想と現実のギャップに悩みやすい層です。
「子どもと関わりたい」と思って入職しても、実際には書類、保護者対応、職員間の調整、行事準備など、多くの業務を担うことになります。
さらに、現場が忙しいと、十分なフォローがないまま責任を任されてしまうこともあります。
若手保育士が離職しやすい職場には、次のような特徴があります。
特徴 | 離職につながる理由 |
|---|---|
教育担当が決まっていない | 誰に聞けばいいかわからない |
失敗を責める雰囲気がある | 挑戦できなくなる |
面談が少ない | 悩みが表面化しない |
成長の見通しがない | 将来に不安を感じる |
若手の定着には、業務を教えるだけではなく、不安を早めに拾う仕組みが必要です。
保育士の離職を防ぐには、待遇改善だけでなく、日々のマネジメントを見直す必要があります。
ここでは、園長・主任・運営本部が取り組みやすい対策を整理します。
離職は、ある日突然起きるように見えます。
しかし実際には、不満や不安が少しずつ積み重なった結果として起きることが多いです。
そのため、職員の状態を定期的に把握する仕組みが必要です。
具体的には、次のような方法があります。
方法 | 目的 |
|---|---|
職員アンケート | 組織全体の課題を把握する |
1on1面談 | 個別の悩みを拾う |
ストレスチェック | メンタル不調を早期に見つける |
退職面談 | 離職理由を次の改善に活かす |
大切なのは、アンケートや面談を「やって終わり」にしないことです。
職員の声を集めたあとは、
「何が課題なのか」
「誰にフォローが必要なのか」
「どの順番で改善するのか」
まで決める必要があります。
保育現場では、園長や主任に多くの役割が集中しがちです。
保護者対応、職員管理、シフト調整、採用、行政対応、現場フォローなど、やるべきことは多岐にわたります。
その結果、職員一人ひとりの状態を丁寧に見る余裕がなくなってしまいます。
離職対策を進めるには、園長や主任の経験や感覚だけに頼らず、仕組みで支えることが重要です。
属人的な状態 | 仕組み化した状態 |
|---|---|
園長の勘でフォローする | データを見て優先順位を決める |
気になる人だけ面談する | 状態が悪化する前に把握する |
声かけ内容が人によって違う | 面談の観点をそろえる |
忙しいと後回しになる | アクションを可視化する |
マネジメントを「気合い」や「経験」だけで行うのではなく、誰でも一定の質で実行できる状態にすることが大切です。
保育士の離職対策では、業務量の見直しも欠かせません。
特に見直したいのは、次の3つです。
見直す項目 | 具体例 |
|---|---|
書類業務 | 記録様式の簡素化、ICT活用 |
行事準備 | 担当の偏りをなくす、準備物を標準化 |
役割分担 | ベテラン・中堅・若手の負荷を可視化 |
業務改善で大切なのは、「何を減らすか」を決めることです。
新しい取り組みを増やすだけでは、現場の負担は軽くなりません。
むしろ、職員からは「また仕事が増えた」と受け止められる可能性があります。
離職対策では、足し算だけでなく、やめる業務・簡単にする業務を決めることが重要です。
若手保育士の定着には、入職後のフォローが重要です。
特に入職1年目から3年目までは、仕事への自信や職場への信頼感がまだ安定していません。
若手保育士に対しては、次のような支援が有効です。
支援内容 | 目的 |
|---|---|
メンター制度 | 相談相手を明確にする |
月1回の面談 | 悩みを早期に把握する |
業務チェックリスト | できることを見える化する |
振り返りシート | 成長実感を持たせる |
園長・主任からの声かけ | 孤立を防ぐ |
若手は「困っている」と言えないまま、突然退職を申し出ることがあります。
だからこそ、本人から相談が来るのを待つのではなく、園側から定期的に状態を確認することが大切です。
保育士が長く働き続けるには、「困ったときに助けを求められる職場」であることが重要です。
心理的安全性が低い職場では、職員は本音を言えません。
たとえば、次のような状態です。
心理的安全性が低い職場 | 職員に起きること |
|---|---|
ミスを責める | 報告が遅れる |
相談しにくい | 問題を抱え込む |
意見を言うと否定される | 改善提案が出なくなる |
忙しさが常態化している | 助け合いが減る |
反対に、心理的安全性がある職場では、早い段階で相談や共有ができます。
その結果、問題が大きくなる前に対処しやすくなります。
保育士の離職を防ぐには、「辞めたい」と言われてから動くのではなく、辞めたいと思う前に気づける職場をつくることが大切です。
保育士の離職対策として、面談、アンケート、業務改善、若手フォローが重要だとわかっていても、現場では実行が難しいことがあります。
よくある悩みは、次のようなものです。
園長・主任の悩み | 起きている問題 |
|---|---|
アンケートを取っても、その後どうすればいいかわからない | 改善に結びつかない |
面談したいが時間がない | フォローが後回しになる |
誰を優先して見るべきかわからない | 離職リスクを見逃す |
声かけの内容に迷う | 面談の質がばらつく |
管理職の経験が浅い | 属人的な対応になる |
つまり、離職対策で本当に難しいのは、課題を見つけることだけではありません。
課題が見えたあとに、具体的に何をするかです。
保育士の離職対策では、職員の声を集めるだけでは不十分です。
大切なのは、集めた声をもとに、次の行動までつなげることです。
そこで活用したいのが、AIを使ったマネジメント支援です。
AI人材マネジメント・エージェント「みんなのマネージャ」は、従業員サーベイの結果をもとに、管理職が次に取るべき行動を提案するツールです。
「みんなのマネージャ」は、評価・育成・コンディション管理を、AIで支援するマネジメントツールです。
従業員サーベイで職員の状態を把握し、その結果をもとにAIが具体的なアクションを提案します。
単にアンケート結果を集計するだけではなく、
「誰に声をかけるべきか」
「どの課題を優先すべきか」
「どのように面談すべきか」
まで支援できる点が特徴です。
職員の不満や不安は、表面化するまで気づきにくいものです。
みんなのマネージャでは、サーベイを通じて職員の状態を可視化できます。
可視化できること | 活用方法 |
|---|---|
職員の不安 | 早めの声かけにつなげる |
チームの課題 | 園全体の改善テーマを決める |
離職リスク | 優先的に面談する |
エンゲージメント | 定着率改善の指標にする |
感覚だけに頼らず、データをもとに職員の状態を把握できます。
サーベイを取っても、結果を見て終わってしまう園は少なくありません。
みんなのマネージャでは、AIが結果を分析し、次に取るべき行動を提案します。
たとえば、次のようなアクションです。
状態 | AIが提案するアクション例 |
|---|---|
若手職員の不安が高い | 早めに1on1を設定する |
チーム内の関係性に課題がある | 主任と職員の対話機会を増やす |
業務負担が偏っている | 役割分担を見直す |
評価への不満がある | 評価基準や期待役割を説明する |
管理職が「何をすればいいかわからない」と迷う時間を減らし、行動につなげやすくします。
保育現場は忙しいため、すべての課題に一度に対応することはできません。
だからこそ、優先順位が重要です。
みんなのマネージャでは、緊急度や重要度をもとに、どの課題から対応すべきかを整理できます。
優先順位がある状態 | 現場での効果 |
|---|---|
今すぐ見るべき職員がわかる | 離職リスクを見逃しにくい |
対応すべき課題が明確になる | 改善が進みやすい |
面談内容を準備できる | 管理職の負担が減る |
行動履歴を残せる | 継続的に改善できる |
忙しい園長・主任でも、限られた時間で効果的にマネジメントしやすくなります。
保育士不足が続くなかで、退職者が出るたびに採用で補う方法には限界があります。
採用活動には、求人費用、面接対応、教育コストがかかります。
さらに、新しく採用した職員が定着しなければ、同じ課題を繰り返すことになります。
これからの保育園運営では、次の考え方が重要です。
これまで | これから |
|---|---|
辞めたら採用する | 辞める前に気づく |
園長の経験で対応する | データとAIで支える |
面談を単発で行う | 継続的に状態を見る |
問題が起きてから対応する | 早めに予防する |
保育士の定着率を高めるには、職員が「この園で働き続けたい」と思える環境をつくる必要があります。
そのためには、日々の小さな不満や不安を放置しないことが大切です。
保育士の離職率は、私営保育所で高くなりやすい傾向があります。
背景には、人間関係、給与、業務量、長時間労働、若手フォロー不足など、複数の要因があります。
保育士の離職を防ぐには、次の取り組みが重要です。
対策 | 内容 |
|---|---|
本音の把握 | サーベイや面談で状態を見る |
業務改善 | 書類・行事・役割分担を見直す |
若手フォロー | 入職後の不安を早めに拾う |
心理的安全性 | 相談しやすい職場をつくる |
AI活用 | 課題を次の行動につなげる |
特に重要なのは、アンケートや面談を「やって終わり」にしないことです。
職員の声を集め、課題を整理し、次に取るべき行動までつなげる。
その積み重ねが、保育士の定着率改善につながります。
園長や主任だけに負担を集中させるのではなく、AIの力も活用しながら、無理のないマネジメントを実現していくことが、これからの保育園運営に求められています。
厚生労働省の資料では、平成29年時点の保育士の離職率は全体で9.3%、公営保育所で5.9%、私営保育所で10.7%です。私営保育所の方が公営保育所よりも高い傾向があります。
厚生労働省の資料では、過去に保育士として働いていた人の退職理由として最も多いのは「職場の人間関係」で33.5%です。次いで「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」が挙げられています。
職員の本音を把握するサーベイや面談、業務量の見直し、若手保育士へのフォロー、心理的安全性のある職場づくりが重要です。さらに、集めた声を具体的な改善行動につなげる仕組みが必要です。
保育士の有効求人倍率が高く、求人数に対して求職者が少ないためです。令和8年1月時点で、保育士の有効求人倍率は3.88倍、全職種平均は1.27倍とされています。
活用できます。AIを使うことで、職員サーベイの結果から離職リスクやチーム課題を把握し、管理職が次に取るべき行動を整理しやすくなります。園長や主任の経験だけに頼らず、データをもとに継続的なマネジメントを行える点がメリットです。